canosa story Vol. 12 平清水のおもてなし
canosa story Vol. 12
今回は東北で出会った焼き物についてご紹介します。(吉良のレポート)
東北の数少ない焼き物の産地である山形県山形市の平清水焼。約200年の歴史を持つ窯場で明治時代の最盛期には30軒を超える窯元が存在したそうですが、現在は2軒を残すのみ。その中で伝統を守り続ける七右エ門窯では、地元千歳山から取れる硫化鉄分を含んだ陶石を原料に、使いやすく魅力あふれる民藝陶磁器を製陶しています。
通常、ろくろを廻すときは水を使って成形しますが、この土の特性から水の代わりにふのりを煮溶かしたものを手に付けてろくろを廻し形をつくるそう。なのでろくろのそばに、ふのりを煮溶かす小皿があるのが特徴です。
七右エ門窯の作品は、精緻で繊細なデザインが魅力ですが、特に茶器や食器に関しては、実用性と美しさを兼ね備えたものが多く、伝統的な技術を守りながらも新しい技法やデザインを取り入れられており、現代の生活にも使いやすいものに溢れています。もちろんcanosaでもお取り扱いを開始しております。七右エ門窯はかなり大きな窯元ですが、千歳山から取れる硫化鉄分を含んだ陶石を原料に自ら陶土を作っているだけでなく、とても大きな体験工房を併設していて陶芸教室などにも力を入れているようです。そう言えば、他の窯元さんでも伺いましたが、山形県の学校は「モノづくり体験」に力を入れているようで、窯元のビジネスの小さくない柱になっているようです。大変感銘を受けました。
山形の夏は暑いことで有名ですが、お盆明けに伺った日もとても暑い午後でした。仕入のための作品を選んでいると、大おかみから自家製漬物と冷たいお茶を振る舞って頂きました。このお漬物が見た目だけでなく、味が絶品なのです。平清水焼のお皿に盛られた色鮮やかな漬物と入れ方にこだわった冷たいお茶を頂きながら、お話の上手い大おかみの山形弁を聞くと自然と元気が湧いてきます。お茶やお漬物を頂いただけでなく、窯まで案内して頂きました。看板娘のような大おかみのお人柄も七右エ門窯の作品に表れている気がします。
平清水は市内にほど近いのですが、通り抜ける車が少ないためとても静かで緑多い場所です。居心地の良い畳敷きの販売所も併設されていますので、山形に行く機会があればぜひ立ち寄って頂きたい場所です。