canosa story Vol. 3 新しき古窯

canosa story 第三回目

常滑、信楽、丹波立杭、備前。canosaでは六古窯のうち前述の四古窯の作品を扱っています。(越前焼も入荷予定) どこの古窯も伝統や歴史に胡坐を書いているわけではなく、伝統技術に裏打ちされた使いやすく新しい作陶をされている若い作家さんが多くいます。この道数十年、という熟練の作家さんも多いですが、IT系でキャリアを磨いた人や、飲食からこの道に入った人など新しいキャリアも様々なので、作られる作品も従来とは変わったモノに変わってきても不思議ではありません。しかし変わってはいけないものもあるはずです。それは「変わり続けなければ使ってもらえない」ということだと思います。生活様式が目まぐるしく変化する中、現代の生活ではあまり使われない類の焼き物を作っていては多くの人の手に取っては貰えません。美術品としての作陶ならそれでもいいのですが、canosaの求める庶民の暮らしにフィットする「用の美」は、変化する暮らしに追随するべきものだと考えています。

平安時代や鎌倉時代から続く古窯も常に変化して伝統を繋いできました。伝統に縛られて1世代が変わらずにいても、数百年経てばその頑張りなど記録にも残らないはずなのです。

一方、数百年経っても変わらず守らなければならないものもあります。どこの古窯にも美しい田園風景の中には自然があり、川があり里山があり、そして登り窯や陶土の採取場があったりします。土なくして焼き物は作れない。適度に手入れされた里山に囲まれた古窯。その環境はこれからも守っていかなければならない最も重要なものだとcanosaは考えます。

工芸を育む自然とそこに住む人々の営み。canosaが微力ながら守っていきたい大切なものです。